2013年11月17日

10月月例会報告 鹿沼市組子見学会

秋晴れの10月30日水曜日。 10月の月例会として、少し遠出をして、
栃木県鹿沼市の伝統技術、組子の見学会が行われました。
2010年に続いて2度目の鹿沼市訪問になります。
IIDAのメインテーマの一つ、「NIPPON DESIGN」 の活動の一環です。
新宿と池袋から、JR特急日光1号に乗って9時過ぎに新鹿沼駅着。

「木のふるさと伝統工芸館」

鹿沼市の伝統工芸を紹介する展示館です。
今年7月、OZONEでのIIDAの30周年展示で、美しい組子を見てはいましたが、改めて、
素晴らしい技術を目の当たりにして、うっとり。 技術の繊細なことに感動しました。

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加えて、鹿沼ぶっつけ秋祭りの彫刻屋台の迫力に驚きました。
日光東照宮の匠の伝統を、目の前で見ることができます。

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毎年10月の秋祭りでは多数の彫刻屋台が町を練り歩きます。
道路の交差点で、3〜5台の屋台が向かい合って行うお囃子の競演を「ぶっつけ」と呼ぶそうです。

野州麻紙工房

町の中心から車で30分ほど。日本でも数少ない麻糸の生産農家に伺いました。
麻について、今まで知らなかったことをいろいろ学びました。

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麻について深いお話しをしてくださった、日本麻振興会、大森由久氏。

日ごろは麻というと、織物としてしか馴染みがありませんでした。
横綱土俵入りの際の白い横綱は麻、お盆の送り火を焚くおがらは、表面の繊維を取った後の麻の茎だということをご存知でしたか。

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耕した土地でなくても、種を一掴み蒔けば、3か月で2〜3Mに成長するほど丈夫な麻。
縄文時代から、日本人の生活に密接に結びついていたそうです。

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刈り取った麻を乾燥させ、何度も水にくぐらせ、ムロで発酵させます。
黄色く変色した麻の表皮を、手作業でスルスルとはがしていきます。

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むいた皮を薄く延ばして乾燥させ、繊維に仕上げていきます。 乾燥すると美しい白色になります。

Caféぎゃらりー納屋

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大森氏の息子さんご夫妻は、麻紙(まし)のギャラリーとカフェを経営されています。
建物はほとんどお二人の手づくり。 建築資材は、取り壊された古い民家から譲りうけたものを再利用しています。

屋根は麻の茎。 中に入ると、壁紙は麻紙。 床には味わいの深い石材。
シェードに麻紙を使ったペンダントが柔らかい雰囲気です。 

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大森ジュニアご夫妻。

日本の麻についての情報は
http://uruoinosato.sub.jp/index.php?%E9%BA%BB%E5%B7%A5%E6%88%BF

鹿沼名物、にらそばの昼食です。

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おいしい蕎麦と、柔らかくしゃっきりしたニラが、思いがけずとてもおいしかったです。


(有)豊田木工所に到着

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OZONEの展示でお世話になった(有)豊田木工所の豊田皓平氏が、店舗と工場を案内してくださいました。
豊田氏は伝統的な組子の作品以外に、従来にないデザインの作品を製作しておられます。

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すべてのピースの角度が違います。

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整理箱 組み合わせ自由

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手前は漆をかけたパフユームケース。蓋に磁石がしこんであります。

工場と店舗にたくさんの美しい試作品が並べてあります。
一片一片が見事な細工でくみ上げられています。

(有)吉原木芸

こちらは組子のくみ上げ専門の作業所です。

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吉原木芸の後継者、吉原秀美氏が、集中して製作中。

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工場のアイドル、金太郎くん。
段ボールには木くずが詰まっていて、お気に入りのベッドになっています。

組子体験にトライ!

一柄を何分で組めるかな? 小学3年生は10分。 私たちは・・? 

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できました!
IIDAメンバーの右奥が、吉原木芸代表の吉原幸二氏。手前が潟Aルエの高瀬氏。

(株)アルエ

最後に、一日中、運転してくださった(株)アルエ 高瀬一男氏の工場にお邪魔しました。
建具の町、鹿沼で、大きな工場を経営されています。 建具業界のやや古い体質の話、住宅メーカーと組んでのビジネス創出、新しい試みの、フラットな神棚の話など伺ううちに、あっという間に電車の時間になりました。

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新しいデザインの神棚。 神棚には形の決まりはないそうです。

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工場で高瀬社長に襖の部材の説明を伺っています。

豊田様、高瀬様はじめ鹿沼の皆様のおかげで、
大変充実した1日でした。
お忙しい中、皆様、ありがとうございました。
来年の、ぶっつけ秋祭りの時期に、また行きたいですね。
posted by IIDA日本支部 at 22:55| WA・A project/アジア企画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月09日

「NIPPON DESIGN」のロゴ完成!

IIDA日本支部の30周年記念イベントの一環として、7月4日(木)〜7月16日(火)まで、リビングデザインセンターOZONEにて開催される展示会「NIPPON DESIGN〜IIDA Japan Chapterが考えるNIPPONの新しいデザインのカタチ。」のロゴを作成しました。デザインコンセプトは以下の通りです。

Design Concept
 本プロジェクトが目指す「日本のデザインの良さを再発見する」というテーマを表現するにあたり、思いついたのが日本の家紋である。家紋とは、我国において出自といった自らのルーツを表すために用いられてきた紋章であり、古から日本人がデザインに対して優れた美意識と技術を併せ持っていた証と言って良い、現代のピクトグラム(Pictogram)=絵文字・絵単語に通ずる存在である。
 本テーマの「再発見」とは、「故きを温ねて新しきを知る=温故知新」の精神でもあるので、今回、家紋をモチーフとして取り込み、”NIPPON DESIGN”のロゴを現代的なデザインに再構築する事が、本プロジェクトに適しているのではないかと考えた。
 中央に配した”n”と”d”は、”NIPPON”と”DESIGN”の切り離せない密接な繋がりや、デザインの「これまで」と「これから」を受け継いで結んでいく繋がりを表現した「鎖」であり「環」である。下部には家紋のモチーフとして多く用いられてきた、波であり、雲でもある図柄を配し、自然から多くのデザインを生み出してきた日本らしさを表現すると共に、日出ずる国(The land of the Rising Sun)=「日本の再生・再起」を連想させた。

I chose KAMON (Family Emblem) as the special motif for this project “Re-Discovery of Japanese Design”. KAMON is the mark or the emblem handed down from the ancestors, exclusive for each family. Some of them can be traced to Asuka-period (5th Century). They represent how Japanese excelled in design from those olden times. KAMON are equal to the Pictogram of today.

The “n” and “d” in the newly-designed KAMON express the very close relationship between Nippon & Design and the heretofore & hereafter of design. The waves or the clouds beneath express how Japanese designs are often taken from the nature. The whole design produces or symbolizes “The land of the Rising Sun”.- The Re-Birth, the Re-Realization of Japan and Japanese Design.

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design by Kenji Matsumura


Color Concept
 日本の芸術・デザインは、その気候風土によって培われてきたことは言うまでもなく、特に世界有数の四季が織りなす自然の美しさに対し、我々は深い畏敬の念を抱きながら、その美しさを体現したいと願い、ひとつひとつの芸術に昇華してきたと言える。
 その背景を踏まえ、今回、”NIPPON DESIGN”のロゴの配色計画をするにあたり、メインロゴ色とは別にサブ的に使用できる「四季色」の展開を試みた。
 しかしながら、あまり大げさな事には縛られないよう、敢えて日本の伝統色などは使わず、ポップな配色で、日本の文化に欠かせない四季の美しさ・楽しさが伝わるような意識で作成。これらが我々IIDA日本支部が未来の住まいのカタチやデザインの新しい姿を模索し、世界に発信する中で、それらに見合った色のロゴを選択しても面白いのではないかと考えた。
 対して、メインロゴ色は知性的かつ思考や瞑想をイメージさせ、落ち着きある寒色と暖色の中間色として、両面性を持つ紫色とした。飛鳥時代に定められた官位十二階においては、最高位を表した色でもあり、一般的に高貴な色ともされている。

There is no doubt that Japanese art and design has been fostered in the nature and the love and respect we have for the beautiful four seasons, are the roots of all the wonderful Japanese design.
In designing the logo for “NIPPON DESIGN” I have chosen pop-colors, not what would be called the traditional Japanese colors. These colors are images of the beauty and fun of the four seasons, hoping that they will match the future lifestyles and designs to be announced to the world from IIDA Japan Chapter.

For the main logo-color, I have chosen purple, the color of intelligence, deep thoughts and meditation, the intermediate-color between cool and warm color. This purple color is generally regarded as a noble color and it was the most important, high rank color in the 12 official ranks in the Asuka period.

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design by Kenji Matsumura
posted by IIDA日本支部 at 22:22| Comment(1) | TrackBack(1) | WA・A project/アジア企画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月01日

第一弾 マラヤ大学でのセミナー&ワークショップのご報告

波乱の幕開け? クアラルンプールは幻想の都市

第一陣は11月18日に日本を発ちシンガポール経由でマレーシアに。第二陣は11月20日に出発し、総勢8名のプロジェクトメンバーでクアラルンプールにプロジェクト前日の夜に現地入りしました。当日の現地の天候は雷雨。そして気温は30℃超え。天気だけではない“嵐”を予感させる雰囲気に根拠の無い不安を覚えつつも、天空高くそびえ建つペトロナス・ツインタワーの幻想的なライトアップに目を奪われ、空港からホテルに到着。悪い予感は当たるものなのでしょうか。4室予約したうち3室がホテル側のミスで無いと(!)言われ、危うく宿無しになるところに。ホテル側が代替え部屋として“インペリアル・スイート”を用意してくれることになり、一生自腹で宿泊することはないであろうゴージャスなお部屋に泊まることになりました。またその日の夜の夕食もホテル持ちとなり、「災い転じて‥」となったと良き方に解釈することに。その日の夜には、現地でデザイナーとして活躍する須部さん一家と土屋さんがホテルを訪ねて下さり、ご挨拶をすることが出来ました。

今日もまた? マラヤ大学でのセミナー&ワークショップ

いよいよ本番当日。クアラルンプールにあるマラヤ大学にてセミナーとワークショップを行う日です。午前中は昨夜目にした魅惑のタワー“ペトロナス・ツインタワー”が建つ“KLCC”へ短時間でしたが視察に出掛け、その後お昼過ぎにホテルを出発。二手に分かれてタクシーに乗車したのですが、ここでまたもやトラブル発生!先に出発したタクシーは問題無く目的地の建物に到着したのですが、もう一台の方は、ドライバーさんの問題なのか、大学の敷地内を迷うこと30分以上。乗っていたメンバーの皆さん、本当にお疲れさまでした。

その広大な敷地内にあるマラヤ大学の“Department of Architecture”の校舎に着くとすぐにSenior LecturerのKamarudzaman Mat Rejab氏が出迎えてくださり、準備段階から日本との調整役をして下さったEzlina Adnanさんや学部のトップでもある Zunaibi Abdullah氏にお会いし、温かい歓迎のご挨拶を頂きました。

今回、新しく出来た校舎での初のプレゼンターとして会場を使用させていただくということで、ワクワク、ドキドキ、期待も高かったのですが、開始15分前にならないと電気が来るかわからない(!)と言われどうなるのか?という不安な状況に。しかし、「ま、何とかなるでしょう」と待っていたら、予告時間通り14:15に電気が通り、エアコンも動きだし、無事、その会場でセミナーが出来ることになりました。

予定時間を少し過ぎた14:35過ぎ、角田プレジデントのご挨拶からセミナーがスタートしました。モダン旅館を紹介する丹羽さんのパートのムービーのところでデータが止まり消えるというアクシデントはありましたが、ほぼ時間通りにセミナーパートを終えることが出来ました。また、現地に赴いたIIDAメンバー皆の協力のもと、ワークショップの準備もスムーズに。網村さんの説明、指示のもと、学生達は短い作業時間にも関わらず、積極的に日本のマテリアルに触れ、議論をし、作品を見事に作り上げてくれました。ワークショプの時には、IIDAメンバーが各テーブルを回り、素材の説明や、作業のアドバイスをして学生達をフォローしました。

ワークショップでの学生達の様子や実際に作られたボードについては、12月5日のクリスマスイベントの時に詳しくご報告致しますのでお楽しみに!

第一弾のプロジェクトを終えて

セミナーだけではなく、ワークショップをするという試みによって、私達にとっても様々な収穫があり、また今後の活動を進める上での貴重な経験、第一歩になったと思います。そして、これは私見ではありますが、今回初めてクアラルンプールとシンガポールを訪れ、その発展と進化を目の当たりにし、そこで学ぶ学生達の環境や既に出来上がりつつあるアジア各国のインテリア・建築関係の連携の枠組み(日本は不参加)を知ったことで、大きな衝撃を受けたことも事実です。あまり時間的余裕は無い。それが率直な私の感想です。日本のインテリアデザイン業界が世界のガラパゴスにならないように するためにも、目をもっとアジア諸国に向け、自ら発信、参画していかねばならないことを改めて実感する旅となりました。そのためにはこのWA・A Design Projectで何が出来るのか、何をすべきか、何が必用かをメンバー皆で知恵を集め、良き方向に進めていけたらと思います。

最後に、今回、このような機会を得られたこと、また現地での温かいサポートをして下さった須部さんと土屋さんに、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。現地でインテリアデザイナーとして活躍されているお二人の力が無ければこの企画は実現しませんでした。また、そのお二人を紹介して下さった角田プレジデントにも改めて感謝致します。マラヤ大学のEzlinaさんとの度重なる交渉や調整のメールのやり取り。本当 にありがとうございました。そして、現地での情報や事前打合せをして下さった宮崎さん、ありがとうございました。頂いた情報のお陰で助かったことが幾つもありました。
そして、WA・Aメンバーの皆様。お忙しい時間の中、本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。

IIDA Japan Chapter
WA・A Design Project
担当 細井絵理子

*Webサイトもご覧下さい →こちらから
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2012年11月07日

WA-A Design Projet / 和亜折衷プロジェクトのロゴ完成!

こんにちは、プロジェクトメンバーの松村です。
いよいよ本格始動した今年度の一大プロジェクトのひとつ、WA-A Design Projet / 和亜折衷プロジェクト〜世界に発信する日本・アジアのデザイン交流企画ですが、現在は第一回目のプロジェクトとして、11の21日にクアラルンプールのマラヤ大学にて行うセミナー&ワークショップに向けて、メンバーが協力して各資料を鋭意作成中といったところです。

そんな中、このプロジェクトのロゴマークを作成しました。
デザインコンセプトとしては、「和亜折衷」というテーマを通し、日本とアジアのデザイナーが交流を図り、お互いに各国のインテリア、建築、デザイン・文化全般に対して、これまで以上に造詣やつながりを深めることで、これまであまり試みられていない新しいデザイントレンドとしての「和亜折衷」を生み出したいという、本プロジェクトを体現できるよう、和(WA)と亜(A)のつながりと発展をイメージとして取り入れつつ、あらゆる分野のデザインに波及させたいというメッセージを込め、そのグラフィック(タイポグラフィー)は、ひとつのオブジェクトのようであり、建築物や構造体、または連続するテキスタイルの一部(模様・編み目)といったように、その見方により、様々なデザインの要素として視認しうるようデザインした。

このロゴマークの元にメンバーが団結し、
本プロジェクトが発展・成功することを願います。
WAA DESIGN PROJECT LOGO
posted by IIDA日本支部 at 07:28| Comment(0) | TrackBack(0) | WA・A project/アジア企画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする