2016年03月21日

日本民藝館を見学して

―日本民藝館を見学してー
■建物と収蔵品を楽しむ
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NIPPON DESIGNでは3月〜6月までを日本の美しいものを「再発見」する期間としていますがその一環として駒場にある民藝の父・柳宗悦が作った「日本民藝館」を訪ねました。今回はメンバーのスケジュールに合わせて3月16日と4月20日と2班に分けての見学です。
昨秋、パリで「Tatazumaiー佇まい」と題して現代の日本人作家による生活工芸の展示会があり話題になったそうですが、鑑賞する美ではなく用の美―普段使いの美こそ私たちの日常を豊かにしてくれるものでしょう。その源を探るための今回の見学となりました。
駅から駒場の住宅街を歩いて数分、大谷石をなまこ壁風にアレンジした蔵づくりを思わせる堂々とした外観が現れます。満開の白木蓮が文字通り建物に花を添えていました。
入ってみて見学者が多いことにちょっとびっくりしました。その中には数組の外国人の姿も見受けられました。30年ほど前に訪れたときは人影もまばらという印象がありました。
でもその時に強く印象に残った入口真正面の左右に分かれている大階段の存在感はそのままです。白とこげ茶のコントランスが美しいこの吹き抜けのエントランスの力強さはこの館の所蔵品の性格を表しています。バーナード・リーチ、河井寛次郎、濱田庄司、芹沢_介、棟方志功をはじめ、一般の名もない作り手たちの品々―陶芸、染織、木漆等々―はこの建物だからこそその良さが生かされるという感を強くしました。最近はともすると枠や桟をデザインするときに「出来るだけ細く、薄くする」傾向にあるのではないでしょうか?でもそのような空間はここの収蔵品には当てはまりません。まだ行ったことのない方は力強いけれども優しい空間を一度体感してみてください。

■柳宗悦自邸にて当時の生活を想像してみる
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次に見学日限定で公開されている柳宗悦自邸を見ました。民藝館に先駆けて建てられ、民藝館がこの自邸に合わせてデザインされています。和の雰囲気の中に用の機能性を踏まえたこの住宅は美しくかつ暮らしやすかったに違いありません。洋室に隣接する和室の床を30センチほど高くして椅子の人と同じ目線になるようにしている等今の住宅にも応用されている点が見られます。また、書斎の本棚や洋室の作り付けのベッドなどの造作家具にも工夫が見られます。数寄屋造りの凛とした美しさも日本建築の一つの特徴ですが、こちらは実際に人が住まうという飾らない日常の美を具現化した空間になっていると感じました。ここで家族や仲間が楽しく団らんしている様が思い浮かぶようです。

パリでの展示会や外国人来訪者が多いという事を見ても海外でも日本の民藝が注目されているのでしょう。メンバーの小林陽子さんのお薦めの「Discover Japan―世界はなぜ日本の物つくりに惚れるのか?」によれば「ニュー民藝」と言うジャンルができつつあるようです。
この本良いですよ!!民藝の基礎と今を知ることができます。
今度はどこの視察かな?? 楽しみ!!
(高桑)

posted by IIDA日本支部 at 19:37| Comment(0) | NIPPON DESIGN 2016 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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