2012年04月27日

Reims 幸せな泡を求めて

 泡のイメージは、はかなさだったり人魚姫のような悲しい泡もあるけれど、バスバブルのようにアワアワで楽しい泡もあります。 でも、一番幸せな泡はシャンパンの泡でしょう。

 パリ東駅からTGVで約45分、シャンパーニュ地方の大都市「Reimsランス」を訪ねました。
大都市といっても、人口約20万人の穏やかな都市です。

TGV.jpg
ベルサイユ駅近くのツーリストインフォメーションで予約してくれたチケット。
パリと違ってお客さんも少ないので親切丁寧でした。TGVはやはり等級によって料金が違うのかな、安いチケットを選んでくれました。

 ランスはシャンパンセラーの街として知られているだけではなく、本来はノートルダム大聖堂、トー宮殿、サン・レミ聖堂と世界遺産の街であり、藤田嗣治のチャペル・フジタがあります。なので、日本人にとっても縁のある場所です。 残念ながらチャペル・フジタは冬季閉鎖なので、ノートルダム大聖堂がシャンパンに続く目的でした。 やはり世界遺産よりシャンパンが1番の目的。

 ツーリストインフォメーションで聞いた、カーヴ見学可能なシャンパンメーカーの1件目「Taittingerテタンジュ」は時間が合わず午後にしました。
午前中に1件のノルマ?を果たすべく近くを周るとこじんまりした瀟洒な建物が、「G.H.MARTEL&C゜」さっそく飛び込みで見学。

マーテル.jpg
売店と事務所も兼ねるサロンのような一角でテイスティングが出来ます、見学とシャンパン3種類のグラス付チケットにしました。
http://www.champagnemartel.com

「マキシム・ド・パリ」のハウスシャンパンメーカーだったマーテル社のシャンパンは、コクがあってスパイシーさやハチミツの風味もある「ハートのシャンパーニュ」。 個性的な味わいはピノ・ノワール50%/シャルドネ35%/ピノ・ムニエ15%、そのピノ・ムニエが成せる味わいかしら、陰の立役者。

シャンパンを味わうカテゴリーは、ボディ・エスプリ・ハート・魂のシャンパーニュとあり、人生最良の日には魂のシャンパーニュをBon Apetit!

 午後に訪れた「テタンジュ」はパリのホテル・クリヨン、コンコルド・ホテル、バカラ等を運営する一族の礎となるカーブと聞いて驚きでした。
 地下に広がるカーヴは聞いていたとおり広大で、ガロ・ロマン時代のものだとか。
テタンジュに限らず、シャンパンのカーヴは白亜(チェーク)を切り出した後のトンネルを使用しています。その時代の地上に続く階段を見上げるとかなりの急な傾斜で、当時の厳しさが感じられました。そのためか旧階段の脇やトンネルから伸びる部屋のような洞の壁に聖人が祭られています。
カーヴの様子は、真っ白な蟻の巣を思い浮かべていただくと判りやすいでしょう。

 温度は10℃前後に保たれているためシャンパンの製造や貯蔵に最適で、跡地の見事な再利用ですね。
枝分かれしている一つの洞だけでも約7千本のシャンパンが眠っていると聞いて、シャンパン風呂とかシャンパンの泉とかが頭の中を駆け巡り、ため息ものでした。

シャンパンキャップ.jpg
 
ビスキュイローズ.jpgビスキュイローズ1.jpg
シャンパングッズです。「ビスキュイ・ローズ」はシャンパンに浸して食べると美味しい、ランスの名物です。 
パッケージにも「微笑みの天使」がバラ色の笑みを浮かべています。

 マーテル社の方に聞いた近くのレストラン「AU PLAT DU JOUR」でランチ、近所で働いているオジサン達がシャンパンを飲みながら楽しんでいました。 男同士でよく話し鼻歌まで飛び出していました、さすが食を楽しむお国柄か。

 さて、もう一つの目的のノートルダム大聖堂はゴシック様式の傑作。
第一次大戦の爆撃でかなりの痛手を受け、その後に修復されたため中央にシャガールのステンドグラスも見られます。流れるようなブルーが美しく映えていました。 高いシャンパンフルートのようなカーブを描く回廊から振り向くと、大きなバラ窓が上下にあって美しい光を放ちます。

 ここで有名なのはファサードにある「微笑みの天使」、ほっこりと天使が身近になりました。
隣の扉にも大天使ガブリエルが笑っているので間違えそう。でもこちらは方翼でちょっと濃い笑顔でした。

 どこの大聖堂に入っても、時代を超えて当時の空間に足を踏み入れたような感覚をいつも覚えます。床を歩くひたひたした足音に振り向くと、そこに中世の修道僧がいるような。 昔読んだ「ドゥームズデイ・ブック」のように、中世の世界は行ってみたい時代の一つです。

 すっかり暗くなった駅への帰り道、街中の小さな教会を覗くと天使の歌声が。
導かれたように入っていくと、讃美歌を渡されて歌っている箇所まで教えてくれました。 フレンチだし口パクで聞いていたけれど、本当にメインの女性の歌声が素晴らしかった。 蜀台の灯りと歌声で教会中がオレンジ色に輝いています。 終わって歌詞集を返しに行くと皆さんが声を掛けてくれ、日本から通ってくる女性もいると話してくれました。 お茶に誘われたけれど電車の時間が迫っていたので、残念ながらお礼を言ってお別れ。

 ランスはゴージャスでエレガントなシャンパンの世界から、古代ローマまで遡る歴史的な顔、そして天使の微笑みも勇気付けられるけれど最後に穏やかで温かな人々の笑顔にも触れて、また訪れたい街になりました。

 イラスト.jpg
タンタンのようなツルンとしたTGVの車掌さん。 レストランのスリムなマダム、こちらの女性は年配でも重ね着が上手。 微笑みの天使と笑顔の大天使。

メンバーシップ担当 水嶋 ユリ江
posted by IIDA日本支部 at 01:06| Comment(3) | パリ視察旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
酒好き(失礼)お酒に詳しい水嶋さんならではのブログ楽しく拝見しました。写真がなくても情景が浮かんできました。45分で行けるなんてパリから足を延ばす恰好な場所ですね。次回パリに行った時には是非行ってみたくなりました。ニュアンスのある絵がステキ!!
Posted by 高桑 郁代 at 2012年04月27日 11:25
その土地やカーブを訪れ 作り手を観て 地の食とワインを楽しむ、味わい深い旅だったのですね。
祝福の泡と天使の声に出会うなんて素敵〜。
私もテタンジュ 行ってみたくなりました。
またワインのお話し聞かせてくださーい。
Posted by こばやし ようこ at 2012年05月01日 23:16
シャンパーニュにまで足を伸ばすとは、さすが水嶋さん!
ボルドーも都市計画が成功して、とても素敵な街に
蘇ったようですよ。また パリに行きましょうね。
Posted by 眞柄 則子 at 2012年05月03日 19:49
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