一日目は鹿沼市を訪問。有限会社湯島アートの一色社長の計らいをいただき、鹿沼商工会議所 木村会頭にお話を伺うことからスタートしました。組子についての説明はもちろん、伝統工芸を大切にし、新たな事へのチャレンジにも頑張っている地元の方々の思いを伺うことができました。
鹿沼市は、日本一職人さんの多い町。約350年前、日光東照宮造営時に、全国から参加した技術者の一部は鹿沼市に永住し、その匠の技が子孫に伝えられたと言われています。
「組子」とは一般に障子や欄間、書院などの建具を構成する細かい部材のことで、一般には「桟」と呼ばれる物より細かい部材のことを言います。組子細工は、切り込みを入れた細い桟を釘やビスを使わなくても手作業で組み合わせて何種類もの模様を作ります。建具の中でも組子細工は特に精巧な作業。
江戸間・京間・中京間等、畳の寸法が地域によって異なることとも関係し、建具としての使用が基本にある組子の産地は、大都市近郊にそれぞれ存在するとのことです。
三組手(みつくで)という、釘なしでも動かない技法により組まれた、六角形の基本的な組子模様から様々ににデザインを発展させて作品を作り上げる。
200年〜300年物の木曽ヒノキを使用することが多いとのこと。油分があり、水に入れて曲げるといった加工性に優れているからだそうです。
伝統的な技術を生かした「彫刻屋台」は木工・建具の街鹿沼のシンボル。10月に行われる鹿沼秋祭りは国指定重要無形民俗文化財に指定されています。
今回の視察では、実際に工房を拝見することもでき、細やかな技術の素晴らしさ、美しさ、そして新たなる挑戦への可能性などを感じることができる、良い機会となりました。私も是非、組子を大胆に壁面アートとし、光の演出とともに提案してみたいな…という思いを胸に、鹿沼を後にしました。
IIDA NCSCメンバー 武山豊子