秋晴れの10月30日水曜日。 10月の月例会として、少し遠出をして、
栃木県鹿沼市の伝統技術、組子の見学会が行われました。
2010年に続いて2度目の鹿沼市訪問になります。
IIDAのメインテーマの一つ、「NIPPON DESIGN」 の活動の一環です。
新宿と池袋から、JR特急日光1号に乗って9時過ぎに新鹿沼駅着。
「木のふるさと伝統工芸館」鹿沼市の伝統工芸を紹介する展示館です。
今年7月、OZONEでのIIDAの30周年展示で、美しい組子を見てはいましたが、改めて、
素晴らしい技術を目の当たりにして、うっとり。 技術の繊細なことに感動しました。



加えて、鹿沼ぶっつけ秋祭りの彫刻屋台の迫力に驚きました。
日光東照宮の匠の伝統を、目の前で見ることができます。



毎年10月の秋祭りでは多数の彫刻屋台が町を練り歩きます。
道路の交差点で、3〜5台の屋台が向かい合って行うお囃子の競演を「ぶっつけ」と呼ぶそうです。
野州麻紙工房町の中心から車で30分ほど。日本でも数少ない麻糸の生産農家に伺いました。
麻について、今まで知らなかったことをいろいろ学びました。

麻について深いお話しをしてくださった、日本麻振興会、大森由久氏。
日ごろは麻というと、織物としてしか馴染みがありませんでした。
横綱土俵入りの際の白い横綱は麻、お盆の送り火を焚くおがらは、表面の繊維を取った後の麻の茎だということをご存知でしたか。

耕した土地でなくても、種を一掴み蒔けば、3か月で2〜3Mに成長するほど丈夫な麻。
縄文時代から、日本人の生活に密接に結びついていたそうです。


刈り取った麻を乾燥させ、何度も水にくぐらせ、ムロで発酵させます。
黄色く変色した麻の表皮を、手作業でスルスルとはがしていきます。


むいた皮を薄く延ばして乾燥させ、繊維に仕上げていきます。 乾燥すると美しい白色になります。
Caféぎゃらりー納屋
大森氏の息子さんご夫妻は、麻紙(まし)のギャラリーとカフェを経営されています。
建物はほとんどお二人の手づくり。 建築資材は、取り壊された古い民家から譲りうけたものを再利用しています。
屋根は麻の茎。 中に入ると、壁紙は麻紙。 床には味わいの深い石材。
シェードに麻紙を使ったペンダントが柔らかい雰囲気です。





大森ジュニアご夫妻。
日本の麻についての情報は
http://uruoinosato.sub.jp/index.php?%E9%BA%BB%E5%B7%A5%E6%88%BF
鹿沼名物、にらそばの昼食です。

おいしい蕎麦と、柔らかくしゃっきりしたニラが、思いがけずとてもおいしかったです。
(有)豊田木工所に到着

OZONEの展示でお世話になった(有)豊田木工所の豊田皓平氏が、店舗と工場を案内してくださいました。
豊田氏は伝統的な組子の作品以外に、従来にないデザインの作品を製作しておられます。

すべてのピースの角度が違います。

整理箱 組み合わせ自由

手前は漆をかけたパフユームケース。蓋に磁石がしこんであります。
工場と店舗にたくさんの美しい試作品が並べてあります。
一片一片が見事な細工でくみ上げられています。
(有)吉原木芸こちらは組子のくみ上げ専門の作業所です。



吉原木芸の後継者、吉原秀美氏が、集中して製作中。

工場のアイドル、金太郎くん。
段ボールには木くずが詰まっていて、お気に入りのベッドになっています。
組子体験にトライ!
一柄を何分で組めるかな? 小学3年生は10分。 私たちは・・?



できました!
IIDAメンバーの右奥が、吉原木芸代表の吉原幸二氏。手前が潟Aルエの高瀬氏。
(株)アルエ最後に、一日中、運転してくださった(株)アルエ 高瀬一男氏の工場にお邪魔しました。
建具の町、鹿沼で、大きな工場を経営されています。 建具業界のやや古い体質の話、住宅メーカーと組んでのビジネス創出、新しい試みの、フラットな神棚の話など伺ううちに、あっという間に電車の時間になりました。

新しいデザインの神棚。 神棚には形の決まりはないそうです。

工場で高瀬社長に襖の部材の説明を伺っています。
豊田様、高瀬様はじめ鹿沼の皆様のおかげで、
大変充実した1日でした。
お忙しい中、皆様、ありがとうございました。
来年の、ぶっつけ秋祭りの時期に、また行きたいですね。